この学校は、ロンドン西部のヒースロー空港近くで、空港から20分の場所であるHOUSLOWにキャンパスを構えている。ロンドンの中心部から30分程度の都会型「継続教育カレッジ」である。テムズ川の上流地域に該当する。臨空地域という特性から、多数の外国人が生活しており、英語を母国語としていない地域住民も多数いる。そこで生徒募集も外国人を対象とした英語語学コースを設置し支援する等の国際的なものとなっている。

特 徴
 学生数は、フルタイム2,500名、パートタイム5,000名で、中規模な「継続教育カレッジ」である。人種別の割合は、白人30%、アジア系30%、その他40%である。また、フルタイムの学生の50%程度が中等教育からの新卒者である。当然のことながら、残りの学生はほとんどが既卒者である。この数値は、驚くべきものである。「生涯学習機関」として「継続教育カレッジ」が機能しているのだ。必要に応じて学習する「生涯学習社会」である。ちなみに、在籍している学生の年齢は、14歳から70歳までの幅広い層である。

プログラム&カリキュラム

T. Academic Studies
大学教育に連携するコース
GCSEやAレベルが目標

GCSE General Certificate of Secondary Education (一般教育資格試験) の略。通常15 歳以上で受ける。 GCSE および A-Level の成績が University への入学資格や就職を左右するひとつの要素となる。

U. Computing(コンピュータ教育 たくさんの生徒が在籍する)
V. Creative Arts
   Art and Design
   Engineering
   Media and Music
   Performing  Arts(芸能分野)
W. ESOL and EFL外国人向けの英語学習コース)
X. Hair,Care and Beauty
   Beauty Therapy
   Hairdressing
   Health and Care
   Specialist Make-up & Hairdressing
   (資格取得のため週に1〜2回通学)
Y. Business Development Centre
   ビジネス教育     (以降英表記)
Z. Study Support Centre(知恵遅れや計算ができない人々向け)
[. Supported Learning 
   Adult Life Skills, Pre 16 Inclusion
   Pre Vocational Education ,Threshold
   

上記のようなプログラム&カリキュラムが代表的なものである。また、16歳以下の生徒は、key skillとして3つの分野を重点的に学習している。それは、Communications Skills(言語能力)、Information Technology Knowledge(コンピュータ)、Application Of Number(計数能力)である。最後の計数能力は、適切な訳ではないかもしれない。イギリス人は、掛け算や引き算がやや苦手であるようだ。このあたりをカバーするのではないかと思う。前日に訪問したBEXLEY COLLEGEでもNUMBERの教育を強調されていた。

学校内見学
まず、Spring Grove House(ゲストハウス)にて、Andrew Hughes先生が全般的な説明をなされた。コーヒーや紅茶を飲みながらのものであり、英国文化の薫りを感じた。その後、カレッジ内を見学して回った。
Study Skill Centre
ここでは知的障害者や、母国語を英語としない生徒への学習サポートが行われ学力レベルに応じて個々に指導がなされていた。初歩的な学習をマスターさせる基礎教育センターである。多数の移民を受け入れる国ならではのものかもしれない。
学習センター
正式名称は、Learning Resources Centre(LRC) & Resource-Based Learning Centre(RBL)である。このセンターの目的は、「個人の学習力」を高めるためのものである。おおまかなイメージとして、LRCは、5万冊の蔵書とインターネット端末が整備されている図書室、RBLは、60台のパソコンでITスキルを伸ばす自学自習室のようなものである。来年は、2倍のスペースに拡張を予定している。各自がマイペースで習熟度に応じて学んでおり、教員は分からなくなったときのサポートを行っていた。全校では、500台以上パソコンが整備してある。
ウ 科学(サイエンス)教室
普通教科である「科学」の授業を見学した。人体模型等が置いてある理科室(=科学室)での授業である。ちょうど、実習後のコースワーク中であった。学生は、全員女性の学生だった。GCSEやAレベルに対応したコースも設置してある。将来は、大学、教員、看護等に進む生徒もいる。
エ マルチメディア教室
マルチメディア関連の実習教室には、G4、iMac等のマックが整備されていた。マルチメディア、Art、デザイン等の創造的な分野にはマックを利用したコンピュータ教育を実施している。見学した実習内容は、イメージデータを回転させる基本的なものであった。他の教室のパソコンは、ほとんどWindowsマシーンである。
オ Engineering実習室
このコースは、日本の工業高校の機械科と類似した内容である。金属加工がベースで、旋盤等を利用して実習をする。1枚の鉄板を加工して箱を作成する実習中だった。最上級生は、日本のロボットコンテストのような大会に出場をしている。
カ パソコンメンテナンスコース
失業者対策のため、イブニングコースが実施されている。在籍者は20名程度で約6〜7週間のカリキュラムで終了する。パソコンの組み立て、ソフトインストール等のメンテナンスコースである。
IT Systems EngineerLevel 3
パソコン・周辺機器・ネットワーク等を学習する高度なコースである。授業では、TCP/IPの概要について液晶プロジェクターのプレゼンテーションを見ながら進めていた。Level3の資格を目標としている。
  Advanced Diploma in Programming 
システムエンジニア養成の高度なコースである。授業内容は、visual basicによるプログラミングであった。Advanced Diploma資格を目標としている。

見学が終了すると、ゲストハウスにて国際的な生徒募集について解説された。担当は、Marketing Manager Lucy McCannさんであった。日本ではありえない役職である。


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Hair,Care and Beautyコースの実習設備